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御名神亭の業務日誌

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『灰藤玄太郎の事件簿』 2

御名神亭の業務日誌

「…あれが雨月の第八研…、そしてあの娘…が居るんだな。」

 俺は今、研究所を見渡せる場所に来ていた。
 御木家救出…結局、俺は間に合わず…生き残りの少女、御木楓(みき かえで)までもを奪われた俺は、依頼の失敗と、仕事抜きで少女を助ける旨を報告する為に御名神光輝に連絡を取った。
 しかし、報告を済ませると意外な返事が返ってきたのだ。

『…そうですか…分かりました。
 ですが、依頼は続行です。何故なら雨月製薬には正式にハンター協会から抹殺指令が出ました。
 応援を其方に向かわせましたので、合流後に詳しい説明を受けて下さい。』

 ハンター協会が抹殺指令を出すなんざ、稀な事態だ。
 てっきり一軍に匹敵する部隊を送り込んでくるかと思ったが…、遣って来たのはたった一人だけ。
 それが今、俺の隣に居る袴姿の大男…。

「…うむ、我らの一族でも諜報に秀でる、御影家の総力を挙げた情報だ。間違いは無い。」
「へぇへぇ…、まったく、何でもありな一族で結構な事ですな…御剣鋼刃(みつるぎ こうじん)殿。
「うむ、我らの一族は各家に秀でた分野という物がある。
 御神の中でも古き三家、『御珠』『御鏡』に並び、武門を司るわが『御剣家』が家長、御剣鋼刃が居れば、あの程度の研究所の壊滅なぞ容易い。くっくっく…。」

 嫌味一つ効きやしない…。ったく、俺はこういう手合いとは相性が悪いんだがな…。
 しかも、武門だかなんだか知らねぇが、たった一人で随分な自信だ…。」

「で?ただの研究所にしては物々しい警備…、まるで…いや、要塞そのもの…どうやって潜入する気だ?」
「ふむ…、
 では、わしが正門より殴りこんで誘導をかける。貴殿は裏側から潜入し、楓嬢ちゃんを救出。
 …と、言った所でどうだ?」

 …正直、思考が止まった
 一軍に匹敵しそうな私設軍に一人で殴りこむたぁ、一体どこの馬鹿だ?

「おいおい、正気か?
 ここは増援を待った方が…。」

 鋼刃は、そう言う俺の言葉を遮るように、

「残念だが、時間が無いのだ。
 雨月の此度の非道、ただの新薬開発では無い。
 真の目的は御木の血と遺伝子。…そして…不死の兵士の開発だ…。」
「な!?
 …って、待て!じゃあ、嬢ちゃんは!」

 俺は思考をよぎった最悪の結末を否定しようとしたが…。

「あぁ…、楓嬢ちゃんは、その血ゆえに…生きたまま血を抜かれ、肉を削がれ…実験動物モルモットにされる…。」
っざけるなっ!
 何故だ!?何で嬢ちゃんがそんな目にあう?たった、7~8年生きただけで…まだ…たった其れだけしか…。

 俺は完全に血が上っていた。

「…だからこそ、われ等が助けるのだ、玄太郎殿!
!!

 鋼刃の強靭な決意を物語る声と眼に俺は正気を取り戻した。

「…玄太郎殿、失礼ながら貴殿の経歴、調べさせてもらった。…妻子のご不幸も含めてな…。
 わしにもな、産まれたばかりの娘が二人おる。それこそ目に入れても痛くない程のな。
 だから、一族の事は抜きにしても楓嬢ちゃんを助けたい。それが楓嬢ちゃんの両親を助けられなんだわしの償いだと思っとる。」
「…そうだったな…。
 俺は、嬢ちゃんを…楓を助けると決めたんだったな…。」

 そうと決まれば、作戦を立て直す為に第八研の見取り図を眺める。

「しかしなぁ…あんたでも一人で囮は無理だ…。」
何の!『一人師団』の異名は伊達では無いぞ?」
な!?
 あ、あんたが…アノ『一人師団』かよ!?」

 『一人師団』…ハンターの中でも半ば伝説となっている超一級ハンターだ。
 あらゆる、武器、兵器を扱い、謎の武術を駆使し、たった一人で一国の軍隊を壊滅させたと言われている。
 …ハンター同士の冗談だと思っていたんだが…。

「しかし…いや、だったら、あんたの乗ってきたジープに積んであるロケットランチャーを数発、時限式で撃ち込んでやればかく乱になるだろう。
 それから…一人で行くと言ったが、俺も行く、二人で突破すれば確率は上がるだろう?」
「…ふむ、貴殿も言って聞く手合いでは無さそうだな。
 だが…、やはり研究所内では、玄太郎殿に楓嬢ちゃんの救出をお願いしたい。」
「…何故だ?何か訳でもあるのか?」
「うむ、実はな…楓嬢ちゃんを連れ去った刀を持った長身痩躯の男…。
 わしが使う『御剣流戦闘術』の技と愛刀『鋼虎』を盗んだ、御神の面汚しなのだ!

 一瞬とはいえ、鋼刃の全身から凄まじい怒気が放たれ、山中の鳥たちが一斉に飛び去る…この怒気は冗談じゃねぇな…。

「O~K~…そっちは任せるわ…。
 あぁ、後は…俺のランクルは、もしもの脱出用に裏門近くの森に隠す、って事で良いか?」
「ほう…脱出まで考えるか…。いや、やはり此度は貴殿と組めて良かった。はっはっはっ。」
「ふん…あんたと違って其処まで考えなきゃ生き残れんのさ…生きる知恵ってやつだ。」
「いやいや、感心しているのだよ。
 おぉ!忘れる前にコイツを渡しておこう。頭首殿の“力”を込めた“魔弾”と…お守りだ。」

 そう言って渡された物…俺のコルトパイソンカスタム用の弾丸。
 1ダース程は魔弾だろう。
 だが“お守り”ってのは…、先端に十字の切り込み…ダムダム弾か…。

「また、随分物騒なお守りだな…。って魔弾の方が物騒か…。」
「ただのダムダム弾では無い、中心には貴殿が御木の里で見たであろう植物の種子が入っている。
 …だか、そのままでは使えん。楓嬢ちゃんを助けたら力を込めて貰ってくれ
 …最悪の場合は…先端に血を付けても使えるだろうが…。」
「…随分とろくでもない無いお守りだなぁ…しかもそこまでは自力かよ…。
 ま、良いんだがな、こういう事は初めてでもねぇ。」

 苦笑をしつつ、なるべく軽い口調でそう言う。

「うむ、すまんが頼む。」
「じゃあまぁ、話はまとまったな。時間も無いようだし、とっとと準備をして行くか。
 …お姫様を助け出すってのは男の本懐ってなぁ。」
「くくっ…。
 まったく面白い男だ。この仕事が終わったら一杯奢らせてもらおう。」
「そいつは益々、生きて戻らねぇとな。」

 これから一軍相手にたった二人でドンパチをやると思えないやり取りを交わす。
 そうさ、俺は生きて楓を助け出す。必ず!

    (『灰藤玄太郎の事件簿』 2了。 3へ続く)
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Comment

[354] Re: 『灰藤玄太郎の事件簿』 2
 例によって…おかしい、何故かまた続いてしまった(爆

 さて、読めば分かるとおり、実は『御名神亭奇譚』や、まだ書いてない『御神異聞録』と同じ世界観の過去話となっております。
 まぁ、平行世界ってやつでよろしく(苦笑

 しかし…固ゆでSSが書きたいと思ったのが発端とは言え…渋さってどう表現するんでしょう?(マテ
 まぁ、結構、クソ熱いオヤジどもの話にはなってるんですが…鋼刃さんや光輝さんまで出てくる予定は無かったんですが…(汗

 では、どっちに行くか作者自身が分からない(つーか、勝手に動くぞ、このオヤジども…・汗)このつづきをお楽しみに?
[355] Re: 『灰藤玄太郎の事件簿』 2
なんかあやしげな力を持ってそうな少女、楓……。
『痕』を思い出したり(^_^;)。懐かしい。
続き、待ってます。

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水上雷太

Author:水上雷太
『水上雷太』
 「全スポ会会長」
 「御名神亭やとわれ店長」
 「サイト管理人」
 様々な“自称”を使い分ける男。ぶっちゃけ三十路ヲタ(ぷ

 ブログ開設4年目に突入し、何を血迷ったかサイトまで開設する。 どこまで突き進む気だ?

『御剣みこと&ほむら』
 御名神亭の店員。双子の姉妹。
 一見中○生並のコンパクトボディだが18才以上(笑
 一人称が「ボク」と「オレ」だが女の子。
 ほむらはふた○りだが女の子!

『Dr.ノーザンウェスト』
 御名神亭に住み着く、謎の「萌え学」講師。
 某キ○○イ博士に似ているのはただの噂(笑
『ワイルド=エルザ』
 通称「ワルザ」Dr.が某所から設計図を入手して作り上げたモエロイド。
 語尾はお約束の「ロボ。」(笑

 ここは、上記メンバーでお送りするエンターテイメントサイトである。

 リンク&アンリンクはフリーです。ご一報頂けると、リンクを貼り返します(笑





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