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御名神亭の業務日誌

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『灰藤玄太郎の遺志』 「受け継がれるモノへ…」

御名神亭の業務日誌

うわ~~ん!おかあさん~!
「あらあら、帰ってくるなり如何したのかなぁ?」
「おかあさん、ぼく…ぼく…みんなと違うって…それに…おとうさんも居ないって…ひぐ…ひく…。」
 家に帰ってきた息子が、泣きながらあたしに抱きついてきた。
 どうやら、学校で突然“力の発現”が出てしまったらしい。それを、クラスの子達に揶揄された事で、人と違う自分に気が付いてしまった…と。
 多分、家に帰ってくる間に、不安でいっぱいになってしまったのだろう…。

「…そっか…、それじゃあ…明日のお休みにお父さんのお墓参りに行こうか。
 お父さんの事、あなたの事、…本当の事は、あなたがもう少し大きくなってからと思っていたんだけどね。」
…本当のことぉ?
「そう、本当の…大切な事。」

 次の日、朝早くからあたし達親子二人は、山中の道を車で走っていた。

「おかぁさ~ん。まだ着かないの~。」
「ん~?もう少しかなぁ~。」
んもう!お母さんさっきからそればっかりだよぉ~。」
「あははっ。
 そうね、ちょっと退屈しちゃうかな?それじゃあ…お母さんの一族の事から話してあげようかな…。」

 話しながら、横目で息子を見ると…思い当たる節があるのか黙って聞いていた。


 そのうちに目的地、雨月製薬第八研究所跡地に着いた。
 だが、放棄されて相当の時間が経っている為、その殆どが森に蔽われてしまっている。

「はい、着いたわよ。」
「ここ?何にも無いよ?」
「うん、ここ。
 ちょっと歩くけど大丈夫よ。」

 そういって、あたしは先を歩く。目の前の雑木や藪草は、手をかざすだけで避けていく

「…本当に、お母さんの言う御木の力ってあるんだ…じゃあ、元々、鬼の一族だったって言うのも…。」
「そう、本当の事。
 あなたも出来るよ?ほら、手をかざして…心の中で『通して』って願うの。」

 息子が手をかざして数秒…ゆっくり草木が動く。

うわ!ほ、本当だ!」
「ね、あなたはあたしの息子だからね。
 …さぁ、着いたよ。ここが、お父さんと、お母さんのお父さんとお母さんのお墓…。」

 そこには、ぽっかりと広場のような空間。その中央には寄り添うようにそそり立つ2本の巨木と、近くにもう一本、2本の巨木と比べれば低いががっしりと力強い木が生えている。

 そう…あたしと玄太郎が出会ったこの場所…父さんと母さんの眠る地に玄太郎が眠っているのは、玄太郎が望んだ事…。
 あの日、運命の日…。

 あの頃のあたし達は仕事もプライベートもパートナーとして…恋人としても上手くやっていた。
 だけど、あの日の仕事は違った…。

 いつも一緒に行っていたハンターの仕事だが、その日だけは玄太郎が頑なに一人で行くと言って聞かなかった…。
 そして、家に帰ってきた玄太郎はボロボロ…いや…動けるのが不思議なぐらいの大怪我を負っていた…。

げ、玄太郎!如何したのよ、それっ!!
「うっせぇよ…傷に響くだろうが…。
 くっそっ…ドジっちまったぜ…。」

 後から聞いた話だと、今度の仕事は、裏の組織を幾つも壊滅させてきたあたし達(本来のハンターの仕事を超えているんだけど、あたし達の関わる仕事にはそういったのが多かったのだ)を疎ましく思った連中のだったらしい。

「…だいたい、なんであたしを連れて行かなかったのよ!
 …そうすれば…あたしが玄太郎を助けられたのに…。」
「馬鹿やろう…、てめぇの…“力”を過信してんじゃねぇよ…それに…お腹の子に万が一の事があったら…如何するつもりだよ!」
っ!?

 ビックリした。あたしはまだ玄太郎に妊娠した事を告げていなかったのだ。
 驚くあたしを安心させたいのか、苦しそうなのに…それでもいつもの軽口で喋る玄太郎。」

「そんなに驚く事じゃねぇよ…。俺は元々妻子持ちだったんだぜ…。
 だから…何となく分かった。…それだけだ。
 それより、頼みがある…、俺はもう駄目だ。」
ちょっと!何勝手な事言ってるのよ!」
黙って聞けっ!

 瀕死の人間とは思えない怒声に決意を感じたあたしは、うんと首を振るしか無かった。」

ぐぅぅ…。すまねぇ…怒鳴なっちまって…。
 だが…俺の身体だ…、たぶんもう長くはもたねぇ…だから、頼みがある…。
 俺が死んだら…お前ん家の流儀で埋めてくれ。」
「…あたし、御木の事はあんまり覚えて無いから…。」
「それでも良い。お前のやりたいようにやってくれ…。」
「…うん…。」

 その後、御名神のおじさんに聞いた話では、御木の埋葬法は遺体と共に木の種を一緒に埋めるのだそうだ…ヒトを木に…自然に還すんだそうだ。
 そう、偶然だけど、玄太郎はあたしの両親を御木のやり方でちゃんと葬ってくれたのだ。
 …だから…あたしはここを玄太郎の眠る地に選んだ。


「…この木がお父さんなの?」
「えっと、ちょっと難しいけど、この木はお父さんの身体が木に…自然に還った事の…証。」
「…よく分かんないや…。」
「何時か分かる時が来るよ…。
 …お父さんはね、普通の人だったけど、いつもお母さんを守ってくれていた…お母さんのヒーローだったんだよ。
 だから…武(たける)も…、たった一人だけの為でも良い、誰かを守れる人になりなさい…“その為の力”があなたの中に有るんだから。」
守る力…?」

 あたしと玄太郎の間に生まれた一人息子、『灰藤武(はいどう たける)』は、まだ理解しきっていないのだろう、自分の両手とあたしの顔を交互に見比べている。
 それでも、あたしと玄太郎の“想いと力”は受け継がれる。
 この子が大きくなった時、どんな世界が待っているのか…それは、“世界”に溶け“世界の一部”となった、御神愛(みかみ まな)ですら分からない事なんだろう…。

 …それでも、あたしは信じて疑わない。この子の未来が苦難は多くとも、明るいものになる事を…。


 想いは受け継がれる。人が人として生きていく限り、死をも乗り越えて永遠に…。

    (『灰藤玄太郎の遺志』 「受け継がれるモノへ…」了。)
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Comment

[409] Re: 『灰藤玄太郎の遺志』 「受け継がれるモノへ…」
 一応終わりました。玄太郎さん殺しちゃってるけど…(汗
 とりあえず、しばらくSSを書くのは控えめになりそうです。

 、散文的に展開するであろうトータルストーリーの一つとして、灰藤玄太郎は復活するかもしれません(コラ
 つーか、今回のシリーズ自体、過去から現在、ちょっと未来まで行っちゃいましたから、
 時間軸なんて飾りです。エライ人にはそれが分からんのですよ!
 …まぁ、皆さんの感想と希望があれば、いつか、きっとです(苦笑
[410] Re: 『灰藤玄太郎の遺志』 「受け継がれるモノへ…」
爆笑したw>うわ!ほ、本当だ!
と>時間軸なんて~

いいもんですなぁ。
心が洗われるようだ
私ももうちょっと救済が解りやすいものを書こう(w
他人のネタフリみて我が身をなおせw
[411] Re: 『灰藤玄太郎の遺志』 「受け継がれるモノへ…」
「時間軸なんて…」で、F.S.S.を思い出しました。
あれ、好きだったんですけど、最近全然ですねー。
でもにうたいぷ買ってたりしますが。

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水上雷太

Author:水上雷太
『水上雷太』
 「全スポ会会長」
 「御名神亭やとわれ店長」
 「サイト管理人」
 様々な“自称”を使い分ける男。ぶっちゃけ三十路ヲタ(ぷ

 ブログ開設4年目に突入し、何を血迷ったかサイトまで開設する。 どこまで突き進む気だ?

『御剣みこと&ほむら』
 御名神亭の店員。双子の姉妹。
 一見中○生並のコンパクトボディだが18才以上(笑
 一人称が「ボク」と「オレ」だが女の子。
 ほむらはふた○りだが女の子!

『Dr.ノーザンウェスト』
 御名神亭に住み着く、謎の「萌え学」講師。
 某キ○○イ博士に似ているのはただの噂(笑
『ワイルド=エルザ』
 通称「ワルザ」Dr.が某所から設計図を入手して作り上げたモエロイド。
 語尾はお約束の「ロボ。」(笑

 ここは、上記メンバーでお送りするエンターテイメントサイトである。

 リンク&アンリンクはフリーです。ご一報頂けると、リンクを貼り返します(笑





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